脱・灼熱。

アイスノンはハードに使うと中身が出てきてしまうようです。

 

コイデです。

 

ハードユーザー(いないか。)向けに現場用的なのって・・・ないですよね。

 

           ◆

先日、断熱リフォームの依頼があり現地調査へ。

 

出先からだったので放射温度計やサーモーグラフィといった調査機材を持たずに現地へ。

 

が、それすら必要のない状態でした。

 


cozy design 社長ブログ-デザイン 建築 設計 断熱リフォーム ←問題の3階部分。頭から上が明らかに熱せられる感じがします。


cozy design 社長ブログ-デザイン 建築 設計 高断熱 ←ピアノ教室として使用しているとのことです。

 

クライアントからヒアリングをしている最中も屋根から強烈な熱気を感じます。

エアコンも全開で作動していますが、これではざるに水を入れているようなものです。

 

S構造3階建の物件。

 

屋根はスレート葺、外壁はALC。

 

調査をすると・・・無断熱・・・。

cozy design 社長ブログ-デザイン ←屋根だけでなく、壁も断熱材はありませんでした。

 

これでは冬もとても寒いはず。

 

とりあえず、予算とどのレベルまで断熱改修したいのか、教室として使用している為どのくらい工期がもらえるのかを検討し、工事方法や断熱材などの使用部材を決定しなければなりません。

 

こちら側の都合やロジックで使用材料を選定していてはクライアントの不利益となります。

 

コージーデザインでは、新築では自然素材で熱容量が大きいセルロースファイバーを使用しますが、

予算や施工条件を限られている場合の断熱リフォームでは、あまり適しません。

 

工事時間の短さや、施工の簡易性と確実性、低コストであることから

今回は発砲ウレタンではどうかとクライアントに提案しました。

 

その他詳細は検討が必要です。

 

      ◆

 

戸建新築では特に顕著なのですが、日本の住宅業界は完全にハウスメーカーやフランチャイズ加入の地場工務店などにより 『商品住宅化』 されていて、それぞれが、自社で使用している材料や工法以外は、暗に “こき下ろす” ような手法で消費者の関心を集めようとします。

 

いわゆる【差別化】です。

 

クライアント個々の状況を無視し、端から自社の商品の正当性をアピールするのです。

 

メリットはあります。

 

どんなレベル、ポジションのスタッフでも容易に自社の「商品」を売り込むことが可能です。

 

そこには広く建築の経験や知識といったものを、カバーする必要がないからです。

エンドユーザーに分かりやすいって事は工務店経営者やハウスメーカー社員にもわかりやすいんです。

 

ですので、そういった人たちは何の疑問も持たず、顧客の考えは自社の考えに “ただす” のです。

 

顧客に対する、ちょっとした洗脳といってもいいでしょう。

 

場合によっては、工務店の経営者みずから特定の工法や建材、考え方を妄信しているのかもしれません。

 

一部のクリティカルシンキングができるクライアントだけが、自身なりにハウスメーカーや工務店の「根拠や前提」になっていることの真理を頑張って考え、検討しているのが住宅業界の実情です。

 

おかしな話ですが。

 

最近で言うと、【自然素材→健康に良い】+【工業製品は悪】 的な発想です。

 

そのような宣伝活動に僕らは建築に携わる人間として、とても滑稽に感じ、危惧しています。

 

消費者の耳に障りの良い言葉を並べ、攻撃対象をつくりフラットな考察を建て主から奪う。

 

まるで政治みたいです。

 

 

建築の本質はそこにはありません。

 

事象を正確に掴むには表と裏を見る目が必要です。

 

それが僕ら業界の人間に課せられた責務。

 

一般の方がネットなどから、きちんとした考察による意見と、きちんとした考察によるアンチの意見を見つけ出して並べることすら難しいと思います。

 

議論はあってしかりですが、建て主の不安を煽るような論調はいかがなものかと思います。

 

情報は正しく提供し、経験に基づく主観的意見を述べて、判断をクライアントに仰ぐ。

 

その姿勢は建築設計事務所として崩したくないと。

 

商売的には上手ではないと思います。

そういうフラットな建築姿勢は建築棟数を稼ごうとしたらそれこそ日が暮れてしまいます。

 

でも、コージーデザインでは棟数を追う気はありません。

 

実生活の場としての建築の完成度と、ずっと続く施主満足を追うのです。

 

それが信念ですから。

ねぇ、サイトーさん。

 

広く建築に携わる者であれば、あくまで依頼条件に合致したものをバランス良くチョイスし、提案し、一緒に考え、クライアントの傍にそっと寄り添う。

 

それが僕らの設計スタイルです。